理想の街中華が近所に見つかったので、うちの坪単価は実質7億くらいある

いざというとき頼りになるものといったら、肉親と現金の次くらいに入ってくるのが街中華だ。街中華、つまり街の中華屋。百貨店に入っているような高級中華ではない。ラーメン屋でもない。かつてなら微妙に古いマガジンと漫画ゴラクが置いてあるような店。近所にあってこれくらい頼りになるものはない。

ある程度人類をやっていると、「あと5秒以内に何か食べなければ死ぬ」という状況に陥る瞬間があるわけだけど、そんなときにフランス料理のコースを悠長に前菜から出されたらシェフ マスト ダイである。何がカルパッチョだ。白米を出せ。

それに比べて街中華だ。問答無用で白米が出てくる。おかずももちろんセット。下手をすればスープまで付いてくる。すべてが同時。何もかもが美しい調和に満たされた状態で運ばれてくる。優れた街中華が近所にあるかないかで人生の強度が変わる。

そんなわけで私は日々街中華の開拓に余念がない。私が街中華に望むものは暴力である。炭水化物、油、塩分。糖質制限とヘルシー志向を駆逐し、最終的には客も脳卒中でことごとく殺すという強い殺意である。その殺意をくぐり抜けた先にこそ我々のヘブンがある。

とりあえず王将でもあれば御の字ではあるのだが、欲をいえばもう少しプレミアムな庶民感があるのが望ましい。具体的には中国人の店主がベターだ。

中国人店主の街中華には日本人が失ったものがある。そこには「おいしいものをちょっとだけ」などという洒落臭い哲学はない。あるのは「満腹こそ至高」という人生の真理だけだ。小洒落たかき氷1杯分程度の値段で、塩っ気の効いたカロリーが山盛りで出てくる。もしかしたら日本の物価を理解していないのかもしれない。大陸文化は偉大だ。

そんな理想の中華屋が最近近所で見つかった。600円台のランチでラーメンと丼ものがセットで出てくる。ミニラーメンとかいうケチくさいものじゃない。当たり前のように2つともレギュラーサイズ。

さらに何を思ったのか月曜日はサービスデー。そもそも五目チャーハンが400円という価格設定なのに、月曜日はこれが300円。麻婆豆腐や台湾ラーメンなども300円になる。港区の連中が1,000円払って食パン食ってる間に、我々は900円でラーメンとチャーハンとチャーハンを食える。これが本当のセレブだ。

もちろんおかずの味付けは米に合う仕上がり。ちょっと気を抜くと米がなくなる。

そして、この店が理想を超えてきているのは、そういう定食テイストをベースにしていながら、絶妙に香辛料も効いているところだ。

基本的には街中華に香辛料みたいなものは求めていない。そんなデリケートさよりも一口でどれだけ白米を食べられるかの方が重要なのだ。しかし、この店と来たら白米に合う味である上で香辛料が後を引く。中華丼にしてもイカなんかはきっちり柔らかい。火加減が圧倒的に正しい。

しかもこの店、田舎にしては珍しく24時まで営業しているのだ。夜中にカロリーを取れ、という強いメッセージ性を持っている。おそらく天才が経営する店だ。

近所にこれだけの店が見つかったことで、我が家の土地の坪単価も実質7億円くらいになっている。汐留のタワマンに住んでる人たちがうちの近所に移住してくる日も遠くないと思う。

 

 

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