(おまけ)石川雅之、軽やかさの技法

純潔のマリア」のレビューを書きながら気づいたことを少しだけ。
石川雅之のキャラクターの独特の愛らしさは、デフォルメ使いのうまさが一役買っているのは間違いないでしょう。アルテミスやプリアポスのフクロウ時のようなデフォルメされきった造形がもっともわかりやすいですが、実は通常時の絵もこっそりとデフォルメされています。等身が少しだけ低くしてあるんです。
純潔のマリア」1巻のカバー絵がわかりやすいです。このマリアはリアルめの絵ですが、等身は5等身。つまり、ほんの少しずんぐりむっくりのデフォルメが加えられているわけです。これが石川雅之のキャラクターの、独特のかわいらしさを醸し出す要因のひとつになっていると思います。
石川先生はおそらくある程度意識的にやっているんじゃないかと思います。たとえば、役回りとしてシリアスでありながら基本的にユーモラスなマリアは5等身で描いていますが、物語のシリアスな部分の象徴であるミカエルは6等身になっていますから。
デフォルメでありながら、デフォルメしきらない、この造形が、石川キャラクターに独特の魅力を与え、あの不思議な軽さを醸し出しているのではないでしょうか。